2011/07/12

SugarSync-02 ここまでできる同期のあれこれ

SugarSync(シュガーシンク)の魅力の一つが、利用シーンに合わせて、さまざまな同期のパターンをきめ細かに設定できることだ。
細かに設定できることがいつも素敵なこと、ってわけでもないが、選択肢は多いほうが自分に合った使い方を見つけることに役立つはず(その分、手間がかかるというデメリットも当然ある)。

今回はいろんな同期のパターンについて考えてみる。

利用者の立場では次のような分類が可能だ。
  • 個人で使う/複数人で使う
  • 一つの屋内でのみ使う/遠隔地、もしくは外出先からも使う
  • パソコンでのみ使う/パソコン以外のモバイル機器でも使う
ほかにも、[ビジネスで使う/プライベートで使う]や[無料プランで使う/有料プランで使う]などもあるかもしれない。利用パターンごとに、その設定方法や特徴を考えてみよう。

→・SugarSync-01 同期することの快感(本ブログ内)
SugarSync をまだインストールされていない方は、上の記事を参照のこと。


●パターンA1:1台のパソコンでだけ利用する(もちろん、個人で)
ファイル同期サービスを1台のパソコンで使う意味ってあるんだろうか?
それは、バックアップだけを目的とした利用の方法だ。

もしも、保存容量に問題がなければ、例えばマイドキュメント全体(MacOSX では書類フォルダ全体)を「共有」してしまおう。
SugarSync では、実際に誰と共有するわけでもないのに、SugarSync でフォルダを管理することを「共有」と呼ぶ。同じフォルダの内容が SugarSync サーバにもコピーされるので、そのサーバと共有している、と考えると良い。
マジックブリーフケース以外のフォルダを SugarSync に追加するのは簡単だ。
タスクトレイ(デスクトップ画面の右下部分)にある SugarSync アイコンをクリックし、「SugarSync にフォルダを追加」を選択する(MacOSXの場合、通常、画面の右上部分にある)。

SugarSync にフォルダが追加されると、自動的にそれが同期中になり、しばらくすると同期完了となるだろう。いったん、同期が完了してしまえば、あとはそのフォルダ内に変更があるたびに自動的に変更部分だけが(ファイル追加、変更、削除、名称変更)SugarSync にアップロードされる。
わざわざ、別メディアにバックアップしなくとも、常に最新の状態が SugarSync サーバにも確保されている、という環境ができる。
もしも、使用中のパソコンが使えなくなっても、別のパソコンから、SugarSync サイトにログインすれば、共有されたフォルダにアクセスできる、というわけだ。

このバックアップ方法は、自動的にクラウドにデータ保存されるので、手間も不要で、安心度も高い反面、無料プランで許可された容量内でしかそれを利用できないわけで、それを超える容量をバックアップするためには別の手法を考えなければならない。
手動でバックアップしなければならないが、Microsoft の SkyDrive(スカイドライブ)などの無料で使える大容量オンラインストレージが数多くあるので、それらとの併用は一つの選択肢だ。
マイ SugarSync ウェブサイトや、SugarSync ファイルマネージャの「ウェブアーカイブ」には、他のオンラインストレージサービスと同様の機能がある。同期処理は行われず、指示したファイルが SugarSync サーバに保存されるだけの仕組みだ。
月に一度、大容量のオンラインストレージに圧縮したファイルを保存し、日々の更新ファイルは SugarSync に任せる等の方法は現実的に有効だと思う。


●パターンA2:1台のパソコンだが、たまに他者とファイル共有したい
このパターンは SugarSync の強みの一つだ。
「マイ SugarSync ウェブサイト」を開き、他者と共有したいファイルの「パブリックリンク」を作り、そうしてできたリンク(文字列)を相手にメール等で知らせれば、それで完了。
相手は、SugarSync のサービスを利用している必要はなく、Internet Explorer などのブラウザで、知らされたリンクを入力すれば、そのファイルにアクセスできる、というものだ。
「マイ SugarSync ウェブサイト」はタスクトレイの中の SugarSync アイコンをクリックして表示されるポップアップメニューからアクセスできる。ブラウザで直接アクセスする際のアドレスは、"https://ニックネーム.sugarsync.com/" で、ニックネームの部分は、サービスの利用登録時に設定したニックネームだ。
サイト上部に並んだタグから、「ファイル」を選択し、そこで共有したいファイルにチェックし、現れたメニューから「パブリックリンクを取得」を選択する。

右の画面は、一覧表示されたファイルのチェックボックスにチェックすると現れる(フォルダのチェックを行っても、パブリックリンクを取得の行は選択できない)。
パブリックリンクを取得するためには、それ以前にそのファイルを格納してあるフォルダが、SugarSync に追加されていなければならない(共有されていなければならない)。

メールに数メガ単位のファイルを添付できない時などには、有効な手段だ。
この機能は多くのオンラインストレージでも実現できる機能ではあるが、自分が普通に使っているフォルダ内から簡単に最新のファイルを相手に知らせるという利点は他のサービスに勝ると思う。

また、パブリックリンクは、ファイル単位でしか取得することはできないので、フォルダごと他者に公開するには、次に述べるパターンとなる。


●パターンA3:フォルダ単位で、他者と共有(他者に公開)したい
ファイル個々でなく、フォルダ単位を第三者に公開するには、その第三者も SugarSync のサービスを利用していなければならない(SugarSync 機能がインストールされたパソコンからしか公開されたフォルダにアクセスできない)。
また、第三者にそのフォルダを参照させるだけにするか(読み取り専用にするか)、フルアクセスできるようにするか、を決めることができる。

前述のマイ SugarSync ウェブサイトで、「ファイル」タグ、左ペインの「共有フォルダ」、上部の「オーナーとして共有」を順番通りに選択していくと、SugarSync に追加した(マジックブリーフケース以外の)フォルダが一覧される。

まだ、実際には誰とも共有していないが、この時点での「共有」は、SugarSync に追加されている、という意味だ。
「***に共有」という文章は、その日に「SugarSync に追加された」と理解しよう。

もしも、何も表示されないようなら、SugarSync に追加したフォルダがないということ。
前述の方法に従って、他者に公開(他者と共有)したいフォルダを SugarSync に追加しよう。

次に、任意のフォルダの「共有オプション」をクリックすると、そのフォルダの共有プロパティ画面となる。
ここで、第三者に対するアクセス方法を設定する。

そして、下段の「メンバー」ボックス内の右の「メンバーを追加」をクリックする。
「***にメンバーを追加」ダイアログで、共有相手のメールアドレスを入力して「追加」を押す。
これで、そのフォルダにアクセスできるメンバーが追加されることになる。
この時点では、メンバーのステータスは「保留中」だ。

その相手には、招待メールが送られ、メール内の「参加」ボタンをクリックすると、その共有フォルダへのアクセスが可能となる。
その相手のマイ SugarSync ウェブサイト、もしくは SugarSync ファイルマネージャの「共有フォルダ」を開くと、「ゲストとして共有」の項目に該当フォルダが表示される。

相手が実際に共有を開始したかどうかは、メンバーのステータスが「参加」に変わることでそうと知れる。
文章にすると少しやっかいだが、実際のやり取りは簡単で、それもほぼタイムラグなしにこの状態までになる。


●パターンB1:個人で複数のパソコン間を同期する
ファイル同期サービスの肝である。
この使い方をするための操作手順は、特に説明をしない。前回のブログと今回のブログの前述までのパターンで紹介済みだ。
この機能により、どのパソコンでも作業を継続できる。わざわざUSBメモリにコピーして持ち歩く必要もないし、ネットワーク内のNAS(ナス/Network-Attached-Storage、ネットワークに直接接続するファイルサーバ専用機)に頼ることもない。
自宅と会社、外出先などで、そうと意識することもなく常に最新のファイルを扱える。
NASやVPN(ヴイピーエヌ/仮想プライベートネットワーク)と違って、操作しているパソコン内のファイルを直接操作しての作業なので、該当ファイルへのアクセス速度は比較できない程、快適な速さだ。

個人での利用を前提にすると、ネットに接続していない状態(いわゆるオフライン状態)で作業を続けても、何の問題も起きないことは大きな利点の一つだ。
外出先でオフライン状態でしか作業できない状態でファイルを更新した場合でも、次にそのパソコンをネット環境に接続した時点で、自動的に SugarSync サーバに変更内容がアップロードされ、全体の同期が計られるのだ。
当然、複数のパソコンをオフラインにした状態で、同一のファイルにそれぞれ異なる変更を加える等の確信犯的な操作について、その結果がどうなるのかはわからない(し、わかりたくもない)。
ここで、ファイルの削除行為について触れておこう。
SugarSync サーバと共有しているファイル、フォルダを、エクスプローラのファイル操作で削除(MacOSX では、ゴミ箱に移動)しても、SugarSync サーバから実際に削除されるわけではない。ゴミ箱を完全に消去した後でも(つまり、該当するパソコン内からそのファイルが削除されても)だ。
それは、SugarSync サーバ内に「削除済みファイル」として残ることになる。

必要であれば、マイ SugarSync ウェブサイトで「削除済みファイル」からそれを表示し、チェックした後に、復元させることができる。
なので、一度、共有されたフォルダ内のファイルは、パソコン上で削除されても、マイ SugarSync ウェブサイトで「完全に削除」されない限り、SugarSync サーバ内の容量を使っていることになるので、注意が必要だ。


●パターンB2:モバイル機器から、パソコン内のファイルを参照する
SugarSync ダウンロードページの記載に従って、対応する機器用の公式アプリをダウンロードする。
参照機能が基本なので、パソコンほど複雑な操作ではないが、iPhone(アイフォン)用のアプリの感じでは、DropBox よりも少し複雑な気がする。
iPhone 標準の写真アルバムと似た操作体系だが、不満をあえて言えば、新たな共有フォルダ(SugarSync に追加するフォルダ)を iPhone 側からは設定できないことだ。
パソコンで追加した上で、「同期フォルダの管理」を実行する必要がある。
iPad(アイパッド)版や、Android(アンドロイド)版も用意されており、すべて無料で利用できる(私は試していない)。
iPhone のアプリで撮られた写真は、パソコンからは「モバイルフォト」としてアクセスできる。
このモバイルフォトは、SugarSync を利用しているすべてのパソコンに自動で同期されるので、コピー作業などは一切不要だ。

iPhone の画面に、マジックブリーフケースはもちろん、SugarSync をインストールしたパソコンがアイコンで一覧され、そこをタップするとその中の共有フォルダが参照できる便利さはたまらない。
当たり前のことなんだけれど、今まで、こんなに簡単にできなかった。


●パターンC1:ビジネスで徹底的に使う
チームで共同作業のために、あるプロジェクトに関連したフォルダを同期したり、取引先と常に最新の情報を共有するために共有フォルダを利用することのメリットは絶大だと思う。

共有フォルダの作成(SugarSync にフォルダを追加)したり、同期のアクセス権を設定することは、今まで述べてきた通りなのだが、ビジネスで利用する際に、あらかじめやっておきたいことは、連絡先の登録と、連絡先のグループを作ることだ。

マイ SugarSync ウェブサイトで、「ファイル」→「連絡先」をクリックしよう。
この画面には、「連絡先を追加」「グループを追加」「連絡先をインポート」の機能があるのがわかる。
「連絡先をインポート」は、Google(グーグル)や Yahoo(ヤフー)などに既に登録済みの連絡先を一度に取り込んでくれる機能らしいが、残念なことに、私にはできなかった。何度やっても、「電子メールプロバイダのログインに失敗しました」とのエラー表示が起きる(2011年7月現在)。
おすすめの手順は以下の通り。
  1. 「グループを追加」で新しいグループのグループ名を登録。必要であれば、複数のグループを追加する。
  2. 連絡先を必要なだけ、登録。メールアドレスに間違いがなければ SugarSync の動作には何の問題もない。
  3. そして、複数の連絡先のチェックボックスにチェックを付け、「連絡先の編集」を選ぶ。

この方法だと、連絡先の間違いが起こりにくいだけでなく、「連絡先の編集画面」でできることは、グループの選択だけなので、楽チンなのだ。

こうしてグループを作った後で、通常の操作、「ファイル」→「共有フォルダ」→「オーナーとして共有」→「共有オプション」へと進む。
そして、「メンバーを追加」画面の「宛先」で、適用したいグループ名の先頭の1文字をキーボードで打ち込むと該当するグループ名が出てくるので、そこからグループを選択する。
「宛先」欄には、メールアドレスでなく、グループ名が表示された状態になる。
「追加」ボタンで、そのグループに属する連絡先すべてがメンバーとして登録される。
必要ならば、ここからさらにメンバーを追加したり、削除すればよい。
メンバーを削除するといっても、メンバーに追加した時点で、共有フォルダへの紹介メールが配信されるので、グループごとメンバーを追加する際には、充分、注意が必要だ。
複数のグループに所属する連絡先がいた場合に、グループごとにメンバーを追加する際にダブって追加されることはない。連絡先の単位で、既にメンバーならば、追加行為は(その当人の分だけ)無視される。

このグループでは、このフォルダとこのフォルダを共有、別のグループには別のフォルダを読み取り専用として共有させる、なんて設定も簡単にできる。
オーナーは頭を悩ますことになるかもしれない。

一つのフォルダに対して、あるグループにはフルアクセスを許可し、別のグループには読み取り専用とする、なんてことはできない。共有オプション(アクセス権)は、フォルダ個々に付加されるからだ。


●パターンC2:「同期フォルダの管理」を極める
タスクトレイの SugarSync アイコンからのポップアップメニューの「同期フォルダの管理」は、SugarSync ならでは優れた機能だ。

複数のパソコンにインストールされた SugarSync サービスで、このパソコンのこのフォルダを同期する、という設定を行える。
操作の詳細な手順は省くが、注意しておく点は一つだけ。
マジックブリーフケース以外のフォルダを別のパソコンと同期するには、あらかじめ(もう何度も出てきたお馴染みの!)「SugarSync にフォルダの追加(共有の開始)」を行っていなければならない。
例えば、別のパソコンに既に入っているあるフォルダを、今、操作しているパソコンと同期するには、それ用の空っぽのフォルダを作った後で、「同期フォルダの管理」で指示させることになる。
空のフォルダを作らずとも、既に何らかのファイルが存在するフォルダを異なるパソコンで同期することもできる。この場合、2つのフォルダ内容は統合される。内容が同じの同一名のファイルがある場合は、一つのファイルとして残るが、内容が違う(同一名の)ファイルの場合にはファイル名が自動的に変更され、両方とも残る。
→マジックブリーフケース以外のフォルダの同期方法(本ブログ内)

こうしていろいろと見てきたが、まずは、マジックブリーフケースだけの同期だけでも、充分に心地良い気分が味わえるので、ぜひ、試してみて欲しい。