2011/08/03

Pogoplug-02 何に使うのか、本当に使えるのか?

なにやら、スゴイかもしれないとは感じ始めた Pogoplug(ポゴプラグ)だが、「パーソナルクラウド」とかいうものを享受するためには、Pogoplug デバイスは必須だろうと思ったので、デバイスを入手。その経緯については前回の記事「Pogoplug-01 フリーソフトで試すパーソナルクラウド(本ブログ内)」を参照のこと。
 
で、手に入れたPogoplug デバイスの導入と使用感をまとめてみようと思う。

実は手に入れてスグは、かなり、この製品(というかサービス)に大いに満足していたのだが、2か月を過ぎた現在、正直言って、その印象が変わってしまった。
その辺りの気持ちの変化にも言及できたら、と思う。


●主たる機能を確認
Amazon で購入の前に、主な機能を確認。

Pogoplug デバイスは、それ単独で記憶媒体は持っていないので、デバイスに外付けHDやUSBメモリ等をUSB接続して使う。接続するHDが大容量ならば、それだけの容量がLAN環境下での複数のパソコンや、外部からの共有が可能になる。
Pogoplug デバイスを購入すると以下のことができるようになる。
  1. LAN内からでも外部からでも同様にアクセス可能な、実質的に容量無制限の共有ストレージの作成
  2. 共有ストレージ内のファイル・フォルダの他者への公開
  3. モバイル機器からの共有ストレージへのアクセス
  4. モバイル機器での共有ストレージ内の動画・音楽のストリーミング再生
  5. メール送信による印刷(クラウドプリント)
  6. 自動バックアップ(アクティブコピー)
一番の目玉は先頭の項目で、それ以外はオマケ的機能だけど、オマケがあるからこそ、先頭の項目の価値が高まっているのも事実。

最初に Amazon で販売されたのは、ピンク色の製品だったので、購入を躊躇していたのだが、黒いタイプが購入できるようになって注文した(←机上にあのピンクはないだろう、なんて思ったのだが、その昔、使っていた iMac はタンジェリンだったのを忘れている)。
今年の2月に日本での正式販売が開始され、Amazon もその正規販売店の一つだった。ところが、品切れ状態が継続的に何度も続いたために、Amazon で購入できるのも、輸入品(Amazon が直接販売する日本向け製品でなく、輸入業者が展示販売している商品)だけだった時期がある。輸入品の場合、価格も3~4割増しで、しかも輸入品であることを明示してない場合もあって、それを購入した人も多かっただろうと想像する。ま、日本向け製品といっても、数行しかない説明書が日本語かそうでないかの違いだけだったろうと思うが。
わくわくしながら、商品の到着を待った。


●Pogoplug デバイスをセットアップする
商品の箱の中は、本体と電源ケーブルと短いイーサネットケーブルと説明書だ。
説明書には「http://my.pogoplug.com/」にアクセスしろとしか書かれておらず、少し、不安も感じたが、実際にアクセスすると、そりゃもうシロートでも迷わない程、丁寧な画面説明(ここで、電源コードを差し込んでください、みたいな感じ)で、2~3分で、接続は終わった。
モデムとパソコンが直付けしてあったり、ルータのDHCP機能がオフにされていたり、ダイナミックDNSが無効になっているようなネット環境(つまり、それなりに自分でチューンナップしているような環境)では、すんなりとはいかないらしい。Pogoplug が動作するためのネットワーク構成は、公式サイトのナレッジベースに詳しい("Online Help (ja)" の "Getting started" 内)。
デバイスに接続するHDについては多様なフォーマットに対応している。
私は、FAT32フォーマットのバックアップ専用に使っている外付けHDを接続した。中には、音楽ファイルや画像など150ギガ程度が入ったままだ。

HDのアクセスランプが点滅し、何やらごそごそと動き始めた。
いつまで経ってもごそごそのままなのだが、パソコンから Pogoplug Drive(P:) を開くと、おお、接続したHDの内容が見えている。当たり前か。
ごそごそがなかなか終わらないのが気になるが、一応、これで、セットアップ完了だ。


●躯体についてのファーストインプレッション
デバイスはプラスチック製で軽く、とてもチャチい感じ。
あらためて、ピンクじゃなくて良かったと思った。

コンピュータ周辺装置といえば、もっと、どっしりと(あるいは、しっかりと)据え付けできるのが普通だろうに、何となく、軽く置いておくだけのイメージ。しかし、この微妙に揺れるような構造だと、逆に倒れることが少ないかも。

自分で記憶ストレージを準備しなければならない、というのは、自分で準備しさえすれば、どんな容量のストレージでも Pogoplug デバイスに接続できるわけで、こりゃ、便利だ。
USBインタフェース(接続口)は、全部で4つあり、内1つはデバイスの全面にあるので、一時的にさっと、既にあるHDやUSBメモリを共有したい時なんかに役立ちそうだ。

それにしても、デバイス本体に電源スイッチが無いのが、気になってしょうがない。
本来、プラグコンピュータなんて、電源ソケットに直接、装着するものなので、当然っちゃぁ当然か。

なんて考えていたら、さっきから続いていた「ごそごそ」が終わった。
20分程度、かかっただろうか(この間、何が行われていたのかについては後述)。


●NAS(ナス:Network Attached Storage)として使う、…ことができるか?
パソコン所有者が最初に追加する周辺装置はプリンタで、二番目に追加するのは外付けHD。そして、複数のパソコンを所有しているならば、NASは必須アイテムだ。
で、当然、私もNASは所有しているのだが、今回の Pogoplug デバイスの導入により、死んでいる外付けHDを活用することができそうだ、と考えた。使わなくなったノートPCの内蔵HDDなんかも、USB接続のHDDケース(Amazon で 1000円前後で購入できる)で簡易NASとして復活だ。
ファイル操作は、エクスプローラ上のドラッグ&ドロップでいいのだから何も問題はない(筈だ)。

で、結局の所、その企み、というか野望は、残念ながら断念した。

理由は一つ。あまりに、そのレスポンスが遅いのだ。
参照だけを行うならば、常に待たされるものの、我慢出来ないほどではない。ファイルの登録もそれなりの速度で完了している。
ところが、一度、ファイル登録や削除などの更新作業を行うと、その直後に、何やらデバイスに接続したHDがごそごそと動き出す。そして、このごそごその間は、ファイルの一覧を出すだけでも遅い。
ウェブサイト「私の Pogoplug」にアクセスすると、"メディアの処理中です" とのメッセージが表示されている。
この "メディアの処理中" は、既にファイルが複数入ったHDを Pogoplug デバイスに接続した後にも表示されており、何を行っているのかは以下の通りらしい(公式サイトのナレッジベースより抜粋)。
  • マルチメディア情報のインデックス化(アーティストやジャンル別でのフィルタリングを可能とするため)
  • 画像や動画のサムネイルの作成
  • 画像や動画のタイムラインの作成
音楽データのインデックス化というのは、MP3 ファイルの情報タグを参照しながら Pogoplug 内部に、独自にデータベースを構築しているのだろう。音楽ファイルが多ければそれなりに時間がかかるのは理解できる。
画像や動画のサムネイル作成をすることにより、アルバムをさっと表示できるようにしているのだろう。ふむふむ。
しかし、動画のコーデックトランスファーを常にやられたのじゃたまらない、という気もする。
公式サイトには以下の記述がある。
この処理は、ハードディスク上の使用領域に依存し、スキャンは数分から数時間にわたる可能性があります。 初めてアクティベーションを行った後のインデックス化には一番長い時間がかかります。Pogoplug ドライブで作成、変更、削除されたファイルに対してはこのような時間はかかりません。 インデックス化の作業中は、ご使用のハードディスクが盛んに動作している音が聞こえますが、その間、Pogoplug Webユーザインターフェイス、デスクトップからのアクセス、モバイルアプリケーションは継続してご使用いただけます。
これは大嘘だ!
「このような時間はかかりません」とあるが、私の場合、Pogoplug ドライブ(Pogoplug P:)に画像を数百枚コピーしただけで、20時間も待たされた。
また、「継続してご使用」しようにも、処理中にはそのレスポンスのせいで、とても使用する気にならない。

さすがに、サムネイルを作るかどうかは、「私の Pogoplug」の "メディア設定" で、それらをしないようにすることもできることがわかった。
なので、いっさいのサムネイル作成を止めてみた。当然、動画のコーデックトランスファーもオフだ。

ところが、だ。
やはり時間がかかる。
”メディアの処理中” で現在、行われている内容の一覧を表示することができるのだが(サムネイルを作成している場合、その対象ファイルの名称が出る)、ただたんにステータスが "処理中" で、ファイル名が出ない処理がある。
これは、メタデータやサムネイルを作っているのではなく、ファイル構成全体のインデックス化を行っていると思われるのだが、この処理があまりに遅い。いや、別にこの処理に何時間かかろうとも他の処理に問題がなければいいのだが、この間じゅう、他のすべてのアクセスが遅くなってしまうのだ。
階層が深いフォルダを Pogoplug ドライブ上で削除した所、「最新の状態を表示」すると削除したはずの下位フォルダが現れた。それをゴミ箱に移動しても再度表示するとまた、復活してしまう。試行錯誤の結果 "メディアの処理中" 表示がなくなった後でなら再度表示してもそれらが出ることはなくなった。これは、バグレベルの話なので、そのうちに解決されるかもしれない話ではあるが…。
何らかの処理をした後で、急に、ドライブ全体の処理が遅くなってしまうのは我慢出来ないので、私自身は、通常のNAS的な利用方法は採らないことにした。

もしも、LAN環境下での複数パソコンでの共有ストレージを考えているのなら、Pogoplug デバイスは購入せずに、専用のNASの導入を考えたほうがいい。
快適なだけでなく、製品によっては(Pogoplug ほど簡単ではないけれど)外部からのアクセスを可能とする設定ができるものもある。
パーソナル向けの、アイオーデータやバッファローの製品ならば(メーカーはNASと呼ばずに、ネットワーク接続HDと割り切っているが)、トータルコストもそれほど変わりなく、Pogoplug よりもずっと快適な環境を構築できると思う。


●メディアサーバとしての利用はいけるかも…
LAN環境下でのデータ共有機能については(少なくとも私には)使えない、と判断したのだが、外部からアクセスできるという点は魅力の一つであることに変わりない。
ファイル操作とは別に、写真の閲覧、音楽や動画の再生機能は、他のオンラインサービスと比べて特別に使いやすくも使いづらくもない。
モバイル機器で参照、再生するためのサーバを容量を気にせずに構築できるのだから、それも簡単に、これは充分にマルだ。
もちろんこうした機能を満足に使うためには、前項でオフにした各種メディア設定(サムネイルやメタデータの作成)をすべてオンにするべきだ。
メディア設定で、写真のサムネイル作成をオンにして、「変更を適用」したのだが、Pogoplug ドライブを使って登録したファイル(つまり、接続した後にエクスプローラ上からコピーしたファイル)の写真のサムネイルが作られないというバグを発見した。登録した際には、サムネイルを作成しない設定になっていたので、後で設定を変えて「変更を適用」したにもかかわらず、作成されないのだ。これは、いったんHDの接続を解除し、再度アクティベーションをかけると作成された。かなり、待たされた。←なんて、現時点でのバグを詳細に書いても不毛な気もするけど…。
さすがに「動画をプレイバック用に最適化する」のオプションだけは外すことにした。
実際の再生時間の3倍ものトランスファー時間をすべての動画について行うほど、私は我慢強くもないし、人生が長いわけでもない。



●現在の利用方法
アクティブコピーという機能がある。
フリーソフトの時にも使えていた、ファイルのミラーリング機能だ(Mac 用のクライアントソフトが7月末にようやく日本語化されたが、日本語化される前のアクティブコピーの機能は、ただ "Backup" というものだった/それなりにわかりやすい)。
PC内のフォルダを Pogoplug デバイスに接続された任意のHD内のフォルダに自動的にコピーしてしまう機能だ。同期ではなく、一方方向のコピーだけで、削除なんかはされない(この機能は、Pogoplug デバイス下でのフォルダ同士や、デバイス下HDからPC内へのフォルダ、という指定もできるのだが、その方向でのコピーが何の目的で使われるのか理解出来ない)。

で、私は、複数のPC内のデータフォルダを Pogoplug デバイス内へコピーする機能を利用している。Windows 機でも、Mac 機でも、コンテンツを有するフォルダに変更がかかれば自動的に Pogoplug デバイスに接続されたHD内のフォルダへ反映される。
普段の操作時には、Pogoplug ドライブを利用せずに、ただ単純なバックアップ装置として利用しているわけだ。
処理がどんなに遅くとも、実際にそのデバイス内のデータのファイルを開いたり編集したりするわけではないので、あまり気にならない。

このバックアップの内容は外部からも参照できるので、とても心強い。
LAN環境下で自動的に行われたバックアップの結果、自分が有するあらゆるコンテンツのほぼ最新の状態をいつでも外部からアクセスできる環境が整ったことになる。

アクティブコピーの機能は、それを設定したPCが起動している際に、バックグラウンドで動作する。
バックグラウンドでの処理中にPCをログオフしても、次のログオン時に、残りのコピーが再開される(実際には、また全ファイルを比較して、違う分だけをコピーしているのだろうが)。
また、ネットワークドライブ内のフォルダであってもアクティブコピーの対象に指定できるので、普段使っている(Pogoplug デバイスではない)通常のNAS内のデータもバックアップできるので、非常に、重宝している。


●使い方は無限かもしれないけど
そう、本当に、考えようによってはさまざまな使い方ができるガジェットであることは間違いないが、何をやるにしてもそのレスポンスの遅さはネックだと思う。
唯一、モバイル機器からの写真の閲覧や音楽の再生については、そんなに不都合は感じない。

将来的にも、この機器の処理速度はたぶん、変わらないだろう。
だが、ソフトウェアのバグはきっと解消されるだろうし、Pogoplug ドライブもウェブサイト「私の Pogoplug」も今よりも使いやすくなっていくのだろうと思う。

このデバイスを購入したことを悔いてはいないけれど、当初、思っていたほどは、新しく快適な環境を構築できたとはいいがたい。
だけど、次の3点だけでも、この製品を買った価値はあると考えている。
  • 外出先から自分の持つすべてのコンテンツにアクセスできるようになった
  • iPhone で、60ギガを超える音楽ファイルすべてを再生できるようになった
  • Mac と Windows の両方の一次バックアップ装置を一元化できた
NASの利用価値も購入前と変わらないし、SugarSync(シュガーシンク)も相変わらず手放せない。
Pogoplug デバイスは従来の何かの機能に置き換える製品と考えずに、今までできなかったことの何かを実現するための足がかりと割りきって導入すべきだと思う。